コエガタリ

声優ファン歴10年のアラサーが声優さんについて書き殴るブログ

跪いて愛を問う

www.shinshokan.co.jp

発売日:2021/07/16
出演:山下誠一郎(伊達悠生)×小林千晃(佐山正己)、ほか

「人を支配したい」Dom(ドム)と、「支配されたい」Sub(サブ)。
第二の性」を持つ人が存在する世界。
生活のためSub専用クラブでキャストとして働く正己は、
転校生の悠生にSubだと指摘され命令(コマンド)された瞬間……!?
魂と本能で求め合うDom/Subユニバース!

 3/4に情報が発表されてから4カ月半、ず~~~~~~っと発売を心待ちにしていた作品でした。

koegatari.hatenadiary.com

まさか、悪い意味で感想を書くのに困る作品になるとは、完全に予想外でした。

CD2枚組に相当する原作のページ量を1枚組にするということで、台詞の音声を詰め込んで最低限の台詞の補足とSEが足された作りとなっていて、とにかくテンポが速かった。トラック3あたりから置いてけぼりにされたような感覚で、トラック5で特に強く感じたのですが、久しぶりの正己の母との再会と正己の泣きながらの告白からの両想いラウンドシーンと、最後のプロポーズシーンが隙間なく詰め込まれていて、どれも漫画を読んだ時にすごく感動的なシーンだったのに、各場面がス~ッと流れてしまい「無」で終わったこと。

とはいえ、カットはなく漫画にある台詞はすべて入っているので、全シーン好きだから全部入れてほしいという希望はかなったんですが、こうなるくらいならどこかカットして、特に最後のシーンくらいは長めに時間をとってほしかった…!同じタイミングで聞いた人が言っていたけれど、CDって「ただ音声化すればいいってもんじゃない」。シーンの切り替わりの間とSEがこんなに大事だったのかと気づかされました。

今作、ラウンドのシーンもかなり多く、魅力の1つだと思うんだけど、全部途中でバッサリ終わっているせいでどれも印象に残らなかった。途中で終わるのは原作通りではあるんですが、終わるにしてもオリジナルで台詞足して長くするとかできたじゃんって思ったり。漫画だと絵の力もあるから気にならないのかもしれない。

ここまで読んでもらうとわかる通り、CDの構成に関しては正直不満しかないんだけど、メイン2人のお芝居は本当に良かった

正己役の千晃くん。前作の「彼のいる生活」とは一変して、ツンツンした低音ボイスでいろんな意味で泣かされまくる役どころで、聞く前はとにかく演じきれるのか不安半分楽しみ半分だったんですが、また予想を超えてきましたね。いやすごかった。ひっくり返った。千晃くん、頑張りすぎ!ラウンドシーンではまだ不自然に聞こえる部分が多いし、相手と息が合っていたか微妙(というか最中、誠一郎くんの声全然聞こえなかったのは私の耳がおかしかったのか?)なところだけど、受けが2回目であることと、前作はラウンドシーンはほんのちょっとだけ、というのを加味するととんでもない成長だし、どこからその引き出し仕入れてきたのか気になって仕方がないです(笑)

冒頭のクラブでのSっぽさ全開の声も良くて、言葉責め向いているなと思ったので攻めの素質がありそうなことも分かった。あとはラウンドシーン絡みのテク的なところも音を聞いて何をしているのか分かるようになっていたのは嬉しい誤算でした。キスは今作少なめのため、今後に期待。
個人的には、Subドロップになった時の台詞はもう少し命の危険を感じる言い方が良かったかな。私のイメージよりも軽く聞こえただけで、解釈通りという意見の方もいるでしょうが。あと、幼児退行っぽいシーンも子ども感が欲しかった。声を可愛く高くしてるだけに感じてしまったので。ディレクションでそうなった可能性もあるけれど。ドスをきかせた言い方や号泣シーンは良かったです。
とにかく、いろんな演技の引き出しを聞けました。アニメ等で見てきた千晃くんってクールであまり感情が表に出ない役ばかりだったのでとにかく新鮮で面白かった。

悠生役の誠一郎くん。お芝居はとても良かった。そのはずなんだけど、私の中での印象が薄い(笑)1回目はどうしても千晃くんの声に耳が向いてしまったので、2回目は意識して誠一郎くんの声を聴いたというのに。プレイの時のコマンドの声も低くて魔王感があってかっこよくはあったのだけど、おそらくプレイのシーンが思った以上にアッサリしていたからだと思います。正己がSubドロップになった時に、正己を助けるために必死に言葉をかける場面は心揺さぶられたし、その前の静かに怒るシーンの迫力もあって、要所要所で聞きどころはありました!

誠一郎くんの攻めは一部しか聞けていないけど、受けにツンツンしている攻めを聞くことが多かったから、受けを溺愛してひたすらに優しい攻めが新鮮でした。でも、個人的にはこれまで聞いていた性格に難ありのいじわるな攻めの方が輝いてる気がしたな(笑)悠生を演じる時の誠一郎くん、ほとんど地声だったし、ご本人の性格に近い気もするんだけど、ハマるのは真逆のキャラなの、永遠の謎だな。いや、私の好みの問題か?ご意見お待ちしております。

他の人も言っていたけど、おそらく原作未読勢・既読勢で感想が分かれるだろうなと思います。未読勢なら、テンポ感が気にならなければ私が感じた不満を感じることはないでしょうし。あとはメインキャスト2人が今とても熱くて、待ちに待った共演だったので、期待値も限界まで上がっていて、自分の思うような仕上がりでなかったことにガッカリしているところもありますね。キャストさんが別の方だったら、「まぁ面白かったかな」くらいで終われた気がしなくもない…。でも、別メーカーで2枚組にして作ったら全然違う出来になっていたとは思います。

せめてキャストトークが一緒についてくれたら、2人の真面目トークを聞いて多少は良い印象に転じたかもしれないのにな~。聞けるのはどうやら来年発売のディアプラス付録で、すっかり作品のことを忘れた後に聞くことになるので、なんだかな~。
他メーカーで2人の組み合わせのリベンジまでは望まないので、せめて年内にお2人の新規作品を1作でも良いから聞けることを祈るばかりです。